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{武装神姫の理解の違いと人間の理解の違い} 「おい、姉貴」 「何、タッちゃん?」 「何故俺はこんな所にいるーーーー!!!!」 俺は姉貴に向かって怒鳴った。 それもそのはずだ。 本来なら夏休みを満喫しながら部屋でグースカピー、と寝てるというのに…。 なんでセミがミーンミーンと鳴いてる、この暑い外にいるのだ。 ありえん。 大学生になってから運動しなくなったから身体がダルくてどうしようもない。 まぁ今はとある会社の駐車場にいる。 さっきまでクーラーの効いた愛車の中に居たので、まだよかった。 だが、今は車から出てしまったので太陽に光と熱が直撃している。 マジで殺す気かぁーみたいな感じだ。 そして車挟んで隣にいるのは俺の姉貴、朱美がいる。 因みに俺の左肩に違法改造版のリアウイングAAU7を装備したアンジェラスがちょこん、と座っている。 クリナーレ達は昨日夜遅くまで遊んでいたので、ただいまお昼寝中。 暑いなか、俺は姉貴に半睨みしながら目の前会社を見ながら言った。 「っで、その國崎技研ってのが…ここか?」 「そうよ。我が社のVIS社が少しライバルだと思ってる会社よ」 「ライバルだぁ~あ?またそれはどうして??」 「だって、お互い神姫関連のパーツを創っている会社よ。自社制作だけでなく、個人制作の武装の代理販売なども行っているのだから、これをライバルじゃないと言ったらなんて言うのよ!」 「う~ん、まぁそうだな。ほんでもって、そのライバル会社に来てどうするつもりだ?ハックでもしかけるのか??」 「…タッちゃん」 「な、なんだよ。そのあきらかに馬鹿にしたような何言ってるのこの人は、みたいな顔をしやがって」 「気にしないで。実際、國崎技研に来たのは『白雪姫シリーズ』について調べたいのよ」 「白雪姫シリーズ?聞いた事ねぇ~なぁ。なんかのプロジェクトか?」 「タッちゃんが知る必要はないわ。さぁこんな暑い外なんかいないで行きましょ」 「それには同意だ」 國崎技研の入り口から入り、クーラーでキンキンに冷えた空気が身体に当たる。 くぅ~涼しくて気持ちいいぜ。 会社の中は広々としていて綺麗だった。 …流石、バックに斗小野グループがいるだけの事でもあるなぁ。 姉貴はズカズカと受付まで行き何か受付の人と喋っている。 「凄い会社ですね、ご主人様」 「だな」 辺りをキョロキョロと見渡す。 ふ~ん、まず内装はいい会社だな。 ん? 姉貴に近づく女性がノロノロと遅いスピードで歩いていくる。 あ、姉貴に声を掛けた。 この会社のお偉いさんか? んな訳ないよなー。 容姿的に女子高生に見える、まさかこの会社の社員な訳は…。 「おーい、タッちゃん。こっちに来て國崎技研技術部部長にご挨拶しなさーい!」 社員だったーーーー!!!! しかもお偉いさんだーーーー!!!! 開けて吃驚、玉手箱! って、驚いてる場合じゃないよな。 俺は早歩きで姉貴の所に行く。 「失礼いたしました。こちらが私のアシスタントの天薙龍悪です。今回、我が社の武装神姫のパーツデータを提供するものとして派遣されました」 「こんにちわ、天薙龍悪と申します」 礼儀として45度くらいの角度ぐらいまで頭を下げる。 こいつが國崎技研技術部部長かぁ。 見た目的に婪より幼く見える。 「…ご丁寧どうも。私は斗小野…水那岐と申します。以後、よろしくお願いします」 部長さんも頭を下げる律儀な人だ。 斗小野…水那岐? 斗小野…。 あー、斗小野グループの人間だったのか! ならここの國崎技研技術部部長だという理由も納得いく。 あの斗小野グループの会長の孫娘あたりの人物かな。 「タッちゃん、このアタッシュケースを持っていって第1課・フレーム・架装部門の所に行ってデータを交換しあって。このケースの中には外部HDが入っているから、赤いシールがデータをあげる方のHD、青いシールはデータを貰うHDだから間違えないでね 」 「へいへい。解りましたよ」 「それじゃあ、お願いね。私は斗小野水那岐さんと一緒に別なところに行くからー」 「斉藤朱美さん…こちらです」 姉貴と水那岐はエレベータに乗ってしまった。 後に残った俺とアンジェラスは受付に『第1課・フレーム・架装部門の場所は何処ですか』と尋ね向かった。 いやはや、あの水那岐には驚かされたぜ。 …。 ……。 ………。 大股で歩きながら第1課・フレーム・架装部門の場所に移動する。 途中で色々な武装神姫のパーツを見る事が出来たのは嬉しかった。 物見るだけで大抵のプログラムは頭の中で出来る…完全には無理だ、天才じゃあるまいし。 「ご主人様、着きましたよ」 「ん、そうだな。こんな仕事、ちゃっちゃと終わらして帰ろうぜ」 ドアを開けると、そこには色々な機材がある部屋だと認識出来た。 テストパーツを伸ばしたり潰したりして強度確める機械や風力や水力の抵抗を見る事ができる機会、etc,etc。 ここは相当な設備をされた場所らしい。 流石は会社。 俺の家にある機材と比べようもないぜ。 おっと、機械に見とれてる場合じゃない。 確か、ここの担当の香田瀬健四郎という奴にデータを渡せばいいんだよな。 俺はキョロキョロと部屋の中を見渡しながら歩く。 すると。 「あー!部外者は立ち入り禁止ですよ!!」 女の子の声がしたので、辺りをくまなく見渡す。 だが人間らしき姿を見つける事が出来なかった。 おかしい、物凄く近くから聞こえたのに。 俺の耳が可笑しくなったのか? 「ご主人様、ご主人様。足元を見てください」 「ん?足元だと、ウオッ!?」 俺はアンジェラスに言われた通りに足元を見た。 そこにいたのは腕組をした武装神姫のマオチャオ型が居たのだ。 驚いた俺は半歩後ずさる。 「誰かいたのかい、ユキ?」 「あ、お兄ちゃん。この部外者の人達に注意していたの」 白衣を着た若い男の人が猫型マオチャオのユキという神姫を右手の手の平に乗せた後、俺の方を見た。 見た目的に22歳ぐらいだろうか。 とても若く見える。 ここは不審がれる前に行動するか。 「初めまして、VIS社から来た天薙龍悪です。データの交換に来ました」 「それはどうもご苦労様です」 「あの、スミマセンが香田瀬健四郎さんって居ますか?」 俺がそう言うと男はキョトン、としてその後は少し苦笑いしながら白衣に付いてる社員名が書かれてる名札を見せた。 あ、第1課・フレーム・架装部門:香田瀬健四郎と書かれていた。 だぁー、俺とした事が本人に本人を尋ねてしまったのだ。 ちと恥ずかしい。 「あ、これは失礼しました」 「いえいえ、まぁ立ち話もなんですから、どうぞこちらに来てください」 部屋の置くに行く健四郎、俺はその後ろ姿を見ながら付いていく。 …。 ……。 ………。 健四郎が歩み止めると、そこにあるのは業務用の机にデスクトップ型のパソコンが二台置かれていた。 左側の方はスクリーンセイバーが起動していて、右側の方は武装神姫のパーツを作るソフトが動いている。 椅子に座る健四郎。 手の平に乗せていたユキという神姫を机に下ろす。 「天薙…龍悪君だったけ。君もこっちの椅子に座って」 「はい」 ご丁寧に俺の椅子の分も出してくれる健四郎。 俺は出された椅子に座る。 そして武装神姫のパーツデータがぎっしり入ってる外部HDをアタッシュケースから取り出す。 確か赤いシールがデータをあげる方で、青いシールがデータを貰う方だったよな。 「では、データを差し上げたいのですが、どちらのパソコンに入れれば宜しいでしょうか?」 「そっちのスクリーンセイバーが動いてる方でお願いするよ。そっちのパソコンに外部HD付いてるからそこにデータをいれたください」 「解りました」 俺は赤いシールが付いてるHDをパソコンに接続し、マウスを操作してデータ入れ込む。 パソコンのHDや外部HDがフル回転する。 …うわー、1000ギガあるよ、テラですよ1テラ。 これは時間掛かるなぁ。 次は…と。 「次にデータを貰う方のHDなんですけど、こっちの方もあのパソコンですか?」 「いえ、こちらです。HDを貸してください。俺がやっとくので」 「はぁ、そうですか」 外部HDを健四郎に渡し、俺はアンジェラスの方を見る。 アンジェラスは健四郎のユキに興味があるのかユキの事をチラチラと見ている。 他の神姫に興味があるのか? いや、ちょっと違うなぁ。 あのユキという神姫は猫型マオチャオだが素体が特殊にみえる。 見た目は普通の素体だが、構造やプログラムが普通の神姫と違うような気がする。 アンジェラスの奴はそれに気づいてユキの事を見てるのか? 「アンジェラス、気になるか?」 小声でアンジェラスに訊く。 「はい。あの子も一般で売られている武装神姫とはちょっと違うみたいです」 「そうか、ちと探ってみるか」 俺は健四郎の方を向き顔をニッコリしながら言う。 「健四郎さんの猫型マオチャオの神姫は可愛いですね」 「あ、そうですか。それは嬉しい事を聞きました。そういう龍悪君こそ天使型アーンヴァルも可愛いですよ」 「有り難うございます」 「そうだ、もし宜しければ、うちのユキと遊んでくれませか?他の神姫と遊べばお互いの成長も出来ていいと思うのですが」 「別に構いませんよ。アンジェラス、行ってきな」 「はい、分かりました」 俺の肩からリアウイングAAU7を使って飛びユキのもとに行くアンジェラス。 あ、お互い頭をペコペコと下げて挨拶してる。 二人とも礼儀正しいというか、律儀というか…。 「あの、ご主人様」 「ん、なんだ?」 「ユキさんが、この会社の探検に連れ出してあげる、と言われたのですが…行ってもよろしいでしょうか?」 「俺は別にいいけど、健四郎さん大丈夫ですかね?」 「大丈夫ですよ。ユキ、気をつけて案内するんだよ」 「安心して、お兄ちゃん。さぁ行こう、アンジェラスちゃん」 「はい!」 リアウイングAAU7の翼の上にユキが乗り、アンジェラスが何時もより速度を遅めに飛行しながら部屋を出て行った。 速度を遅くした理由は多分、リアウイングAAU7の翼の上に乗ってるユキを落とさないようにするためだろう。 さて、この部屋に残ったのは俺とこの健四郎という人だ。 どんな風に探りを入れてみようかな~。 …悪役になってみるのも悪くないかもな。 健四郎さんには悪いが気分を悪くさせてもらよ。 「所で健四郎よ~」 「え、はい?」 いきなりの態度の豹変に健四郎は少し戸惑う。 少し罪悪感を感じるが探りを入れるためだ。 ワザと相手を怒らして情報を聞き出す作戦。 「健四郎は、あの玩具の事をどう思うのよ?」 「玩具?」 「あの武装神姫という玩具の事だよ」 「あ、あぁー。あの子の事ね。良い子ですよ」 「良い子?おいおい、まさかあの精密機械人形に良い子だと??アンタ馬鹿じゃん!人形に良い子も悪い子もねぇーよ!!」 健四郎の事を大馬鹿にするかのように笑う。 本当は良心的な人間には悪口を言いたくないんだけどなぁ。 でも探りを入れるためだ。 「まさかお前。あのユキという人形とエロい事でもヤッたのか?最近のオーナーは性処理も人形どもにやらせると聞くがぁ。お前もそのくち?」 「な!?君ちょっと、何を言って」 顔が赤くなる健四郎。 あらら、図星かい。 でも、このネタを使わない理由はないなぁ。 「ゲッ!お前、マジでヤッちまったのかよ!?ウワァーキモー!!」 完膚なきまで馬鹿にする。 許してくれ、これも情報を得るためだ。 「自分のチンコを神姫にしがみ付かせてしごいてもらうのか?はぁっ!気持ちワル!!それならオナホールでも買ってやればい!!」 「…君は君の神姫にそいう事しないのか?」 「テメェと一緒にするんじゃねー!そんな事するなら、女を買ってセックスした方がマシだ!!それに俺が武装神姫をやっている理由は生活の為だ。バイトだよ」 「バイト?」 「そうバイトだ。嫌々人形遊びをやってる訳よ。ってそんな事はどうでもいいんだよ!」 畜生、余計な事を言っちまったぜ。 そろそろ、キレる頃合いかな。 なら核心を突いていい頃だな。 「ユキとかいったなぁ~。あの素体はノーマルの神姫には無い素体だ。白雪姫シリーズのプロトタイプか?」 「なっ!?何故それを…」 「図星かい。実際の所プロトタイプかはどーか解らんが、普通の神姫じゃない事は確かだ。この会社は、なんの為に白雪姫シリーズを作っている?」 「…他社の人に教える必要はありませんよ」 チッ! やっぱり教えてもらえないか。 「それにしても龍悪君も人が悪い。わざわざ白雪姫シリーズの中身を知るために悪役になり、俺に向かって暴言を言う。キレると思いましたか?」 「!?…はぁあ~?」 「バレバレですよ、演技が。そんな事をなさらずにも多少なら教えてあげますよ」 ニッコリ、と微笑む健四郎。 バレバレだと!? それじゃあ今まで見透かされていたのかよ。 やってらんねぇ~。 「龍悪君、君はそいう人間には見えないよ」 「何がだよ?」 「悪役にはなれないって事さぁ。君は本当は根が優しい人のはずさ」 「…はぁあ~?」 俺の事を気遣ってるつもりか? さっきまでボロクソに悪口を言って野郎にか…。 これが大人の余裕というやつかぁ? もう…探りはいいや。 「あぁ~あ、バレてるのならいいや。負けた負けた」 椅子に背中をもたれてグデングデンになる。 「健四郎…ワリィなぁ。許してくれとは言わない。たださっきまで言った暴言を謝ります。申し訳ありません」 深々と頭を下げる俺。 勿論ちゃんと相手に伝わるように感情を込めて言う。 「やっぱり君は悪役になれないよ。安心してくれ、許してあげるから」 「…すんません」 あー情けねぇ~なぁ~俺。 これが大人と子供の差か。 年もそんなに離れてなさそうなのに。 多分、健四郎にはあんまり頭が上がらないなぁ。 「いやーにしても最初はビックリしたよ。いきなり性格が豹変するだもなぁー」 「すんません」 「そんなに謝る必要はないよ。それにさっき謝ったばかりじゃないか」 「…あはは。気まずくて何にも言えないですよ」 「まぁそうだけど、気にしないでくれよ」 「はぁーそうですか」 ペコペコと頭を下げる。 健四郎は大人だ。 俺と比べる必要もない良く出来た人間だ。 それに優しい。 俺はこんな大人に…多分、なれないなぁ。 「所で龍悪君の神姫の…アンジェラスだったけ?あのリアウイングAAU7の動力部分が少し違うような気がしたんだけど」 「あぁ~!気のそうですよ!!」 「え?…そうですか」 危ねぇ危ねぇ。 まさかあのリアウイングAAU7の動力部分だけ見て市販されてるリアウイングAAU7と見分ける事が出来るとは。 さすがは武装神姫の第1課・フレーム・架装部門の一番のお偉いさん。 実力はあるという事かぁ。 この後、俺と健四郎とは色々と武装神姫について話をした。 お互いの情報交換をしながら。 …。 ……。 ………。 アンジェラスの視点 私はマオチャオ型のユキちゃんと一緒に会社の色んな場所に行きました。 今いる所は6課・特殊用品部門にいます。 ここにはある物はどれもこれも斬新奇抜な物ばっかりです…特にエロ方面で。 「ねぇねぇ、アンちゃん」 「はい、何でしょうか?」 アン。 ユキちゃんが私の事をそう言う。 なんでも『名前が長いからアンって呼ぶね』、て言われたので私のあだ名はアンになった。 別に嫌な気分とかにもならないし、逆に親しみが湧くので私的にも嬉しい。 「これなんだか分かる?」 「これですか?ただのクレイドルにしか見えないですけど」 「あ~やっぱりそう思いますよね」 意味ありげに笑うユキちゃん。 いったい何なの? 「実はですね。このクレイドルに乗って眠ると一番大好きな人とエッチしちゃう夢を見せてくれるクレイドルなんですよー!」 「えぇ、エッチ!?ですか!?!?」 そんなもの物まであるのですか、ここは! 流石、6課・特殊用品部門といいますか…なんていいますか…。 まるで武装神姫用の風俗ですね。 いやいや、そんな風に悪く言っちゃいけません。 ここで働いてる人達に失礼です。 でも…。 一番好きな人とのエッチかぁ~。 やっぱり、ご主人様でしょうか。 ご主人様とエッチ…エヘヘ~。 「うわぁっ!アンちゃん、顔がイヤラシく緩んでますよ」 「はっ!?いけない、いけない!私とした事が、妄想に浸ってしまいました!!」 「あはは、アンちゃん面白い!そうだ、一度使ってみますか?」 「ん~、じゃあ一回でけ使ってみようかな」 「分かりましたー!じゃあクレイドルの上に乗って寝たください」 私はユキちゃんの指示通りにクレイドルの上まで行き寝た。 「それではよい夢よ」 ユキちゃんの言葉を聞いた瞬間、急に眠気が私に襲ってきてそのまま寝てしまった。 …。 ……。 ………。 「う、う~ん…」 私が目を覚ますと、そこはご主人様のベットだった。 あれ? 確か私はクレイドルの上で寝ていたはず。 なのに何でご主人様のベットで寝ているんだろ? …て!? 「なんで私が人間サイズになってるの!?」 ガバッと上半身だけ起き上がり自分の体をくまなく調べる。 人間サイズになっていたのはビックリですが、もっとビックリする事は。 「この皮膚の感触…この動き…完璧に人間に成っています」 間接の部分なんか人間そっくり。 いくら夢の世界だからってこれはやり過ぎです。 ユキちゃんもこのクレイドルを使ったのでしょうか? 「アンジェラス」 「!?」 私は声をした方向に振り向くと。 「どうしたんだい?自分の身体をマジマジと見ちゃって」 「…ご、ご主人様」 そうです。 ご主人様がパンツ一丁で私の隣に寝ていました。 気づかなかったです。 あまりにも自分の身体の事で驚愕していたから周りの事をすっかり気にしていませんでした。 というか、この現在の状況から考えると。 「昨日はなんであんなに激しく俺の愛してくれたんだい、アンジェラス?」 キャー!? やっぱり、事後ですかー! でもなんだか嬉しい気持ちがあります。 にしてもこのご主人様はえらく優しいご主人様ですね。 「あの、ご主人様」 「なんだい?」 ウッ!? ご主人様の優しい笑顔が私の胸にHITします。 SEで言いますとキラキラと光るご主人様と私の胸に突き刺さる矢がキュン、か、ズキューンです。 私の顔は今頃林檎より赤くしているに違いません。 あぁ、この優しすぎるご主人様もいいですね。 「もしかしたら、まだ愛が足りないから早く起きてしまったのかい。なーんだ、そうならそうと言ってくれれば良いのに」 「エッ?」 チュ いきなり話をふられたと思いきや、いきなりご主人様が身体を起こし、私にキスをしました。 「な!?なな、ななななな!?!?」 「ん?どうしんたいだい??」 「キ、キキ、キキキキ、キスー!」 「そうさ。アンジェラスは楽にしといて、俺がアンジェラスを気持ちよくしてあげあるから」 「だ、駄目です!!!!」 大声で私が言った。 ご主人様の事をまるで拒絶するかのように。 部屋の中はシーンと静かになり、気まずい空気が満たします。 うぅ~居心地が悪いです。 「どうしたんだい?もしかして俺の事か嫌いになったのか?」 「違います!ご主人様のことは大好きです!!」 「じゃあ、なんで拒むだい?」 「そ、それは…」 ご主人様は切ない顔をしながら私の事を見てくる。 駄目、そんな顔をしたご主人様の願いをきかない訳にはいかない! 私は覚悟をして口を開き言おうとした。 その時。 「解ったよ、アンジェラス。今日はアンジェラスだけ気持ち良くしてあげるよ」 「エエェッ!?」 「ほら、足を広げて」 ご主人様は私の両足を掴み広げる。 とても恥ずかしい恰好。 「待ってくださ、ヒャッ!?」 チュプチュプ ご、ご主人様の一本の中指が私のアソコに!? 気持ちいいです! 「アンジェラスのここはもう濡れてるよ。安心して、今日は指と舌でやってあげるから」 いえ! そいうことじゃなくて! ヂュプ! 「アーー!」 更に中指がアソコに深く侵入し私の身体はビクビクと震える。 中指は上下にピストンを繰り返し私の快感を高める。 「こんなのはどうかな?」 グジュグジュ! 「アー!アン!!ウゥン!!!」 中で中指が『ク』の字に曲げられて私の膣を広くしてピストンを運動した。 快感はさっきよりも数倍に増えて身体が…。 グチャ、ジュク…チュプ 「ハァン!?…イヤ、やめ…アウン!」 「身体は正直だよ。それに今止めたらアンジェラスは身もだえしてオナニーしちゃうじゃないのか?」 「そ!?そんなこと、しません!」 「本当かい?でも、嘘だね。俺には解るだよ。レロ」 「ヒャー!?」 ペロペロペロペロ ご主人様は私のクリトリスを舌で愛撫した。 優しく周りから舐めて、最後に豆の部分を舌で上下に舐められる。 駄目…快楽に勝てない。 気持ちいいです、ご主人様ぁ~。 ペチャ、クチュ…チュウ、ピチャ 「アアァン!そこ気持ちいいです!!」 ビチャ、ピチャ、レロレロ! 「ご主人様ー!吸って!!吸って!!!」 ジュチヂュヂュヂューーーー!!!! 「アアーー!吸われてる!!ご主人様にクリを激しく吸われてます!!!」 「そろそろかな。イッちゃっていいんだよ」 ジュププププ!!!! 「!?アグッ!?」 アソコに一気に二本の指が入ってきました! 合計で三本入った指は上下左右に動き膣をグチャグチャにさせられる。 もう駄目。 頭の中が…真っ白に…。 グチュグチャジュプジュププププ!!!! ジュチヂュヂュチューピチャビチャ!! 「あ…ご主人様ーーーー!!!!」 とうとう私はご主人様にイかされてしまいました。 身体は痙攣したようにビックンビックンと波のように動き快楽が止まりません。 指と舌だけでイッてしまうとは思いませんでした。 ああぁ、ご主人様。 気持ち良かったです、ご主人様。 …。 ……。 ………。 龍悪の視点 健四郎と色々と話しをしていると、アンジェラスと健四郎のユキが帰って来た。 楽しいトーク時間のお終いだ。 「おかえり、二人とも。会社の中をちゃんと案内できたかい、ユキ?」 「うん!ちゃんと案内したよ。ねぇ~アンちゃん」 「はい、とても色々な経験が出来ました」 アンジェラスは笑みしながら健四郎に頭を下げた。 ちゃんとお礼できる事は良い事だ。 「なぁ、アンジェラス。経験ってなんの経験をしたんだ?」 「ご、ご主人様…あの、ですね」 顔を赤くしながら俯いてしまった。 う~ん? いったいどうしんたんだ? まぁいいか。 「…さてっと」 俺はアタッシュケースを持ち、アンジェラスを右肩にちょこんと座らせる。 「もう行くのか?」 「はい。一応仕事で来た身なので。今度来る時は客として面白いデータを持って来ますよ」 「そうか。それは楽しみにして待っているよ」 「また来てくださいね。アンちゃん、また今度来た時はもっと凄い物を見せますよ」 健四郎とユキがご丁寧に礼を言う。 ほんっと、律儀な人だ。 でもこいう人間は数少ないし、とても貴重な人材だと思う。 俺的には好きだな。 「それじゃー…また」 「またね、ユキちゃん」 俺とアンジェラスは第1課・フレーム・架装部門をあとにした。 …。 ……。 ………。 國崎技研の入り口に行くと姉貴が不貞腐れながら待っていた。 あ、俺達に気づいた。 ズカズカと歩いて来て。 「もう~タッちゃん~。遅いよ~」 「顔近い!顔近いから!!少し離れてくれ!!!」 姉貴の顔を掴みながら離す俺。 擬音でいうとグギギギとうい音が出るだろう。 「色々とあったんだよ。姉貴は収穫あったのか?」 「あったよ。さぁサクサク帰ろう」 「サクサクって…運転するのは俺だぞ」 「じゃあタッちゃんの車を運転していい?」 「ふざけるな!姉貴に運転させたら俺の愛車がボロボロになっちまう!!」 「じゃあ運転して♪」 「はいはい」 溜息を吐き肩を落とす。 と~ぶん、姉貴とは仕事したくないなぁ。 「まあまあ、ご主人様。気を落とさないでください」 「アンジェラス…お前だけだよ。俺の気持ちを解ってくれるのは…」 左手の中指の腹の部分でアンジェラスの頭を撫でると、気持ち良さそうにオットリした表情になる。 さて、帰るかぁ。 姉貴の奴はちゃんと仕事したのかな? まぁ、バイトの俺にとっちゃ、関係ない話よ。 こうして俺とアンジェラスと姉貴は國崎技研をあとにして、安全運転で家に帰った。 國崎技研…あの健四郎とかいう男。 きっと大物になりそうだな。 こうして俺とアンジェラスの出張アルバイトは終わった。
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戦うことを忘れた武装神姫 その32 <<その31から。。。<< 久遠の前で、神姫サイズの椅子に腰掛けて向かい合うあずさとリゼ。 「・・・私の型番は型式無しの『Type-91』。 武装タイプとクラリネットタイプの合いの子、とでも言ったところでしょうか。」 「え、き、91型?!」 リゼの目が驚きで丸くなった。 「あら、ご存知でしたか。」 「ヌシさんから聞いた事があるんです。 はっ! もしかして・・・あずささんが、ヌシさんが話していた・・・」 「そういうこと。 今日、お前だけを連れてきたのも、あずささんに会わせるためだったんだよ。」 手元のチェイサー(水のこと)を含んだ久遠が口を挟んだ。 「すみませんね、あずささん。 ちょいとリゼの反応を見てみたかったというのもあって。 リゼも予想通りの反応で安心しましたよ。」 久遠の言葉にちょっぴりむくれるリゼ。 「そう怒るなって。 いま美味しいバーボン分けてやるから。」 「本当?」 ぱっと明るい表情になるリゼに、 「予想通り・・・ですか・・・。 リゼさんは本当に神姫らしい神姫ですよ。」 クスクスと楽しそうに笑うあずさ。 「あ。そうすると。」 ふと手を叩いたリゼはちょっと考えるしぐさを見せ、 「そうすると、あずささんはあたしの叔母さんにあたるんだよね? ヌシさん。」 と久遠に声をかけた。 ぴくり。 小さなピアスが付いたあずさの耳が動いた。 右の目じりがちょっと引きつっている。 それに気づいた久遠が止めるまもなく、リゼは言ってしまった。 「だって91型だと、あたしよりずっと歳増でしょ?」 カッ!!と、あずさの目が開かれた次の瞬間。 どばしゃっ 久遠の手元にあったチェイサーが、リゼにぶかっけられていた。 呆然として椅子に腰かけるヌレヌレのリゼ。 「失礼な! 起動したのは貴女よりもあとなんですよっ!!」 水音を聞きつけて慌てて戻ってきたマスターは一目でその状況を理解し、あずさの頭を小突いた。 「こら。 お客様になんてことをするんですか。 申し訳ありません、リゼさん。」 「あ、いえ。自分も悪いんです。 そのへんのことをしっかり伝えておかなかっ・・・」 言いかけた久遠をさえぎり、マスターはあずさを手に乗せて顔の前へと持ち上げた。 「あずさ。ここではどのように振舞うか、そして何故そうしなければいけないか。教えたはずですよ。」 シュンとなって黙って頷くあずさは、マスターの手のひらからカウンターの上に移ると深々と頭下げた。 「大変申し訳ありませんでした。ついカッとなってしまって。。。」 ヌレヌレになったリゼをやさしく拭くあずさ。リゼはどう反応してよいのか全く解らず、あずさに身を任せたまま久遠を見ていた。 「すみません、こいつもまだまだ修行が足りないもんで。」 久遠はちょいとリゼを突付く。意図を解したリゼも頭を下げた。 「このような形でのお詫びというのも何なのですけれど・・・ひとつはリゼさんに。」 と、マスターは奥から出したものとは別のボトルを傾け、グラスを二つ久遠の前へ差し出した。 一通り拭き終わったあずさは久遠にも頭を下げると、ひとまわり小さいグラスを手にリゼの前へ。 「どうぞ、リゼさん。」 半ば困惑の面持ちのリゼに、久遠は黙って小さく頷いた。 「いただきます・・・ !!!」 一口含んだだけで、リゼの表情が・・・緊張が解け、再びいつものリゼの顔に戻った。 「すごい・・・口当たりがいいのに、いつまでも響く感じ・・・きれいな味・・・。」 ホッと小さく息をつき、うっとりとした眼差しでグラスを見つめるリゼに、あずさもまたほっと胸をなでおろしていた。 続いて久遠もグラスを傾けた。 表情を伺うかのごとく、マスターが声をかけた。 「ハイランドの25年です。いかがですか?」 「ま、マスター、こんないいものを・・・」 「どうぞ御気になさらずに。」 「違うんです。これだけの味を覚えさせてしまうと、リゼの舌がどんどん贅沢になっちゃってウチが困るんです。」 眉間にしわを寄せて見つめる久遠に、あえて知らん顔のリゼ。二人の様子にマスターもあずさも、思わず笑みがこぼれていた。 それからどれだけの時間が過ぎたのだろうか。リゼとあずさの会話は終わる気配もなく、実に楽しそうに続いている。流れるジャスのリズムに合わせて指が動いているところをみると、おそらく歌談義なのだろう。。。 穏やかな面持ちでふたりを眺める久遠。 ふと、リズムの中に混じるカタカタという木の部品が作動する音に気づいた。 マスター、また新しい骨董品を・・・。半ば呆れるような面持ちで見上げるは、壁にかけられたからくり時計。 時報に合わせ、半円になった部分で小さな列車が走っていた。 リゼも気づいてあずさに訊いている。 聞き耳を立てる久遠、どやらねじ巻きはあずさの仕事・・・ぜんまい仕掛けか。 なんと贅沢な時を刻む道具なんだろう。 琥珀色の液体が入ったグラスに口をつけ、久遠はしみじみと噛みしめる。 ・・・リゼとこんなにも贅沢な時を過ごすのは、初めてかもしれない- 。 と、マスターがグラスを拭きながら思い出したかのように話しかけてきた。 「久遠さんは、神姫に年齢という概念はあると思いますか?」 声をかけられ、時計から視線をリゼたちに戻した久遠。 言われてみれば、今まで神姫たちの年齢なんて・・・ 「考えたこともないですね。」 「久遠さんのことですから、きっとそう答えると思いましたよ。」 マスターは安心したようにほっと息をつくと、グラスを置いてさらに続けた。 「あずさを起動させてから、私も神姫に対してずいぶんと考えが変わってね。 僕はね、神姫たちにヒトと同じような年齢という概念はないと思うんだ。」 マスターの言葉に、グラスを持ったまま考え込む久遠の袖をリゼが引っ張っていた。 「ヌシさんヌシさん、あずささんから歌を教わったんだ。」 向こうではあずさがマスターに一言二言、マスターは小さく頷いてCDを入れ替えた。 リゼは久遠にちょっと悪戯っ子の視線を投げると、リゼはあずさに目配せ。 CDの演奏が始まり- 、神姫のデュエットが静かな店内に響き渡る。 -Cradle of Time。 確か、そんな曲名だった気がする- 。歌声に魅了されながら久遠は思い出していた。 最後のソロ部分を、リゼが力いっぱいに歌い上げ- 。一礼をするあずさとリゼに、久遠もマスターも拍手を送る。 「・・・この歌の通り。それぞれが、それぞれの早さの『時』を刻んでいるんだろうな、とね。 だけどね。」 歌い上げたあずさを自らの肩に乗せたマスターは、 「そんな神姫たちと、君たち - いや僕たちの『時』が重なるような、そんな場所があってもいいだろ?」 と、あずさと合わせるかのごとく、久遠と彼の手元で甘えるリゼに微笑みかけた。 穏やかな時間(とき)の流れを紡ぐ神姫がいる。 ここに居るのは、戦うことを忘れた武装神姫。。。 >>帰り道。。。 (その32.5へ)>> <<トップ へ戻る<<
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話は今から遡ること2週間前 7月に入り、形人たち学生がそろそろ夏休みに突入するころの事だった。 いつものごとくメンテナンスショップに詰めている形人とヒカル、他にやる事ないのか。 そんな二人に長瀬が話題を出した。 「そういえば再来週に『神姫のど自慢大会』をやるんだが」 「のど自慢?」 形人の疑問に、ジュラーヴリクが答えた。 「参加料500円!入場無料!! 参加特典にはオリジナルのマイクスタンド マイクをプレゼント!!」 「しかも入賞者にはフルセット神姫が商品になってるんですよ? しかも二位から限定品とかになりますし」 続けてラースタチュカが言う。 「どう?ヒカルちゃん」 「ええ、まあ」 ここで形人、意地悪そうな表情を浮かべ 「さては歌唱力に自信がないんだな? 歌ってるところ見た事無いし」 何て失礼な!?と憤慨。 「自慢だけどわたしをそんじょそこらの子と一緒にしないで!!」 「ほう、なら参加するんだな? 参加申し込みはどこでです?」 「!?」 「ここでも出来るさ、IDカードを」 パッパと参加申し込み、これで14番目の参加者となるヒカル。 「ひどい!! 嵌めたね形人!?」 「いーじゃんか、僕だって一回聞いてみたい。それに戦績が好くないから罰ゲーム」 むっすりとした表情。 「ふふ、楽しみにしてますよ?」 「…もーっ!! 皆のいじわるっ!!」 ~・~・~・~・~・~・~ ひどいよ皆、よってたかってプレッシャーかけるなんて。 自信ないよ…。 リビングのテーブル上で一人背中を煤けさせていると、おかあさんが話しかけてきた。 「どうしたのヒカルちゃん?、電気もつけないで」 もちろんわたしの母じゃなくて、形人のお母さんの令佳(れいか)さんの事。 形人の隣にいる内に呼び方が映ったらしい。 このまま腐ってるのもなんなので、詳しい事を話した。 「あら…形人ったら、最近色々考え事があるといってもヒカルちゃんにあたる事ないのに」 「どうしたらいいかな…? 歌はオリジナル推奨だし、衣装とかも自前だし」 それを聞きおかあさんはニッコリ笑顔で 「なら衣装と音楽は私が作るわ、ヒカルちゃんは詩を考えて」 「え?」 「私はこれでも学生時代は歌作るのが趣味だったし、元は服飾デザイナーを目指してたから自信あるのよ?」 そしてわたしの頭をなでつつ 「いじわるな形人をぎゃふんと言わせましょ?」 …それを聞いて思わず笑った。 「うんっ!」 ……… …… … 以上の経歴で今に至る。 今は大会ゲストのストラーフが前奏曲となる唄を唄っている。 そんな彼女はこの前ニュースで話題となった神姫。 彼女の名はリゼ、 戦いを忘れず、戦うことを忘れた武装神姫 の一人…。 美麗な旋律が奏でるのはややゆったりとした曲、彼女が得意とする唄の一つ。 透き通った声は心に直接伝わり、聴き手の気持ちを安らかなものに変えてゆく。 長めの唄は、わずかな時間で終わったかのように感じられた。 そして、僅かの静寂と共にアンコールが湧きあがる。 リゼはそれを少し恥ずかしがるような表情を浮かべると、一礼してオーナーの元へ。 『それでは、神姫対抗のど自慢大会を開催致します』 火蓋が切って落とされた。 …… "火花散る 光が舞う 刃がぶつかり音立てる" エントリーナンバー4、零牙が歌うのはアニソンテイストの燃えソング。 普段の落ち着き様が嘘のように目が輝いている。 "信念ぶつけ舞いあがれ!!戦う姫、その名は神姫" のど自慢のはずが、まるでアイドルグループのライブの如くアクションしながらの歌唱。 それに呆気にとられる者も少なからず混じっていた。 「ふふ、零牙ったら」 聖憐はそんな中に混じりながら苦笑した。 …… "偽りの声 偽りの愛 プラスティックに包まれたそれは 冷たく聞こえる" エントリーナンバー7、グレースが歌うのは暗めのバラード。 だが作詞・作曲は普段からVOCALOIDによる作品を発表している風間なだけに完成度は高い。 落ち着いた声色のヴァッフェバニーによく合う曲調。 "小さな体は科学の結晶" "昔から見てきた幼い頃の夢" "だけどもそれは機械のかたまり" "意志をもった偽りの友達" …… エントリーナンバー13、マオ。 …はアレな電波ソングのため省略。 「何故だ!? 何故なのニャァァァァァ!!」 「地の文めぇぇぇぇぇ!!」 という訳で14番、ヒカルの番が来た。 (リズムOK、ボリュームOK、オールグリーン) ミュージックスタート。 スポットライトと皆の視線が集中する。 "光が眩しいあの青空 あなたは今どこにいるでしょうか?" 雄大さをも感じさせるPOP、そとて紡がれる詩(コトバ) "わたしにあの高さへと届く 銀の翼があるならば 飛びたちたい あなたの場所へ" "飛んでゆきたい 今すぐ!" 爽やかな歌い口、声。 "遙かな空へ 翼翻し 光る星の彼方へと" サビから一気に持ち上げ、アップテンポに。 "たとえあなたが見えなくても 絶対ね 抱きしめます いますぐに" ワンコーラスを歌い上げた時、早くも拍手が湧きあがった。 「形人、お前初心者のくせにやるなぁ」 「僕は一切関与してない、全部本人とお母さんがやった事だ。…正直驚きだけどな」 ……… …… … ~・~・~・~・~・~・~ 帰り道。 「形人形人~、ねぇどうだった?」 「はいはい、ギャフンとしたって。いつまで聞いてるんだ」 「満足するまで」 「……」 結果はまさかの優勝。 限定販売の神姫が入ったケースが形人の手中にある。 空は暗くなり、星々が宇宙(そら)から転がり落ちたかのように輝き始める。 ヒカルはそれを見て、また一つ唄を紡ぎだした。 "きらり きらり 星が瞬く 今日はおしまい 日が沈む" "家に帰ろう やさしい母元へ 太陽また明日 顔見せて" "空に転がる星の大イリュージョン 今日も見守るあの星は 願い星" "また明日日が昇り 明るい世界 やってくる" 歌詞を見る 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
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ガングラー鋼月の『今時の武装神姫事情』Vol.2 『神姫の構造ってどうなってるの?』 メンテナンスや装備交換で分解することの多い神姫のパーツ。だが、我々は本当に神姫の体を知り尽くしているのだろうか? ○神姫の改造やメンテナンスについて 神姫のハード本体を触るケースとして一番多いのは、手足の換装や関節部のメンテナンスだろう。これに続くのが、拡張スペーサー部や外部装備、ソフトウェア的な調整となる。 逆を言えば、それ以外のパーツはほとんど触る必要がないとも言える。 以下、主に触らない箇所を図で紹介してみた。 1.陽電子頭脳 神姫の頭脳部分。 人間で言えば頭蓋骨に相当する、頭部フレームの内側に収納されている。 陽電子頭脳の詳細については前回のコラム参照。 2.神姫顔 神姫の顔は人間と同じく、頭部フレーム表面に人工筋肉が組み合わされ、そのうえに人工皮質が貼り付けられている(モデルによって頭部の形状が異なるため、筋肉の付き方まで人間と全く同じというわけではない)。 この人工筋肉と人工皮質の動きによって、神姫は自由に表情を変えることが出来る。 3.神姫口 神姫の口には食事用の歯が付けられている。人間の義歯と同じ素材で作られているが、人間のように三十二本あるわけではない。 咀嚼の動作は表情用の人工筋肉に接続して行っているため、基本的に人間と同じように噛んだりすり潰したりする事が出来る。神姫の口の大きさもあって非常に細かいパーツ群であるため、もし歯が欠けた場合、補修はメーカー修理扱いになる。 ちなみにストラーフタイプには八重歯が付いているが、噛みつき技の使用は公式戦では禁止されているため、注意が必要だ。 4.神姫胸部 CSCとCSC基盤が納められている中枢。 5.関節 神姫素体は基本的に外骨格構造。内部にはICPF(導電性高分子アクチュエータ)を中心とした人工筋肉や、情報伝達を司る神経ケーブルが通されている。 ICPFは人間の筋肉に比べ、百倍近いパワーを出すことが出来る。神姫が自分ほどの大きさのあるライフルや、水の入ったコップを持ち上げることが出来るのは、この人工筋肉があってこその技だ。 神姫の関節は非常に大きな力を扱う丈夫なパーツだが、無理矢理な力を加えると折れてしまうこともあるので、取り扱いには細心の注意が必要。 神姫が嫌がる動かし方はしないのが大原則だ。 6.拡張スペーサー 神姫素体各所にあるハードポイント。 パーツへの給電やデータ送受信もここで行われている。 7.神姫袋 歯で噛み砕いた食事は、喉・CSC基盤の裏に通されたチューブを通り、この中に流れ込む。ただし、神姫の食事機能はあくまでもコミュニケーション用の機能であるため、消化してエネルギーに変換する事はない。 溜め込まれた水分は股間のスリット、固形物は腹のハッチを開け、主にトイレで『排泄』される。 ちなみに神姫袋はあくまでも通称であり、正式名称ではない。 8.バッテリー 神姫のメインバッテリーと充電用コネクタは、神姫袋の後ろ、腰~お尻あたりにある。お尻をクレイドルに触れさせることで、バッテリーを充電することが可能。 お尻のコネクタは非接触型の端子ではあるものの、指で触れると電位差が発生するのか、神姫が嫌がるので触らないように注意。 神姫のバッテリーは、メインバッテリー(構造は非公開)、外装を兼ねたプラスチック電池、人工筋肉のICPF(ICPFにも蓄電池の効果がある)などの複数の電源で構成されている。 基本はメインバッテリーが使われるが、バトルなどの大出力が必要になる場合は、外装・ICPFの予備電源が使われる。 9.神姫足 高いところから落ちても平気な足。 装甲強度が高いわけではなく、関節の柔らかさ等でショックを吸収する事でダメージを軽減しているだけなので、見かけほど頑丈なわけではない。 ○神姫の体はブラックボックス こうしてまとめてみると、頭部~胴体、要するに手足以外のパーツに関しては、驚くほど非公開情報が多いことに驚かされる。 特にバッテリーに関しては構造がほとんど公開されておらず、本社の完全な独占状態になっているのが現状だ。部品の取り寄せは出来るし、使用済みバッテリーの回収も行っているため、ユーザーとしての問題はないが、長時間駆動用の大容量バッテリーを望む声は多いため、メーカーには何らかの対応を期待したいところだ。 トップ
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武装神姫 491 名前:1/5:2009/09/02(水) 10 58 01 ID V4ZLqb3o0 光成「地上最強の神姫を見たいかーーーーッ」 観客「オーーーーーーーーーーーーーー!!!!」 光成「ワシもじゃ ワシもじゃみんな!!」 光成「神姫入場!!!」 アナウンサー「全武装神姫入場です!!!!」 全武装神姫入場!! 3.3mm軸は生きていた!! 更なる研究を重ねフィギュアが甦った!!! 記念すべき第1弾!! ストラーフだァ――――!!! 総合格闘技はすでに我々が完成している!! 第2弾マオチャオだァ――――!!! 組み付きしだい投げまくってやる!! Exウェポンセット代表 グラップラップだァッ!!! 素手の殴り合いなら我々の火力がものを言う!! 戦車の一撃 インファイター ムルメルティア!!! 真の護身を知らしめたい!! プチマスィーンズ装備 ハウリンだァ!!! 命中率は3階級制覇だが総火力なら全種目オレのものだ!! ロシアのスナイパー ゼルノグラードだ!!! 暗闇対策は完璧だ!! 兎型MMS ヴァッフェバニー!!!! 全神姫のベスト・売れ残りは私の中にある!! 赤壁の神様が来たッ 紅もr…じゃなくて紅緒!!! 遠距離なら絶対に敗けん!! 軍隊のケンカ見せたる 狙撃隊長 フォートブラッグだ!!! バトル・モード(収穫の季節)ならこいつが怖い!! okama氏のピュア・ファイター ジュビジーだ!!! 第6弾から炎の寅が上陸だ!! 接近戦特化 ティグリース!!! 防御の無い戦闘がしたいからライトアーマー(軽装)になったのだ!! プロの一撃を見せてやる!!ヴァローナ!!! めい土の土産に満面の笑顔とはよく言ったもの!! 達人の奥義が今 実戦でバクハツする!! シスター型MMS ハーモニーグレイス先生だ―――!!! 世界ヘヴィ級トライクこそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの娘がきてくれるとはッッ イーダ!! 飛びたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!! 和風の戦闘機(巫女)型MMS 飛鳥だ!!! オレたちは昆虫最強ではない全神姫最強なのだ!! 御存知カブト型 ランサメント!!! 組み換えの本場は今や第9弾にある!! オレを驚かせる奴はいないのか!! エスパディア!!! 胸がデカァァァァァいッ説明不要!! 褐色肌!!! 間垣亮太制作!!! グラフィオスだ!!! トライクは実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦車両!! CHOCO氏の下からアークの登場だ!!! 可愛さはオレのもの 邪魔するやつは思いきり撃ち思いきり血を吸うだけ!! 武装・神姫吸血王者 ウェスペリオー 持ち歌を試しにコナミへきたッ!! のど自慢全神姫チャンプ シュメッターリング!!! 隠密に更なる磨きをかけ ”第5弾”ヴァッフェドルフィンが帰ってきたァ!!! 今の自分に死角はないッッ!! 花型・神姫ジルダリア!! 西洋二千年の剣技が今ベールを脱ぐ!! 第3弾から サイフォスだ!!! ご主人様の前でなら私達はいつでも全盛期だ!! 新しい素体 パーティオ&ポモック セットで登場だ!!! 自慢の装甲はどーしたッ 胸アーマー 未だ平らッ!! 慰めるも撫でるも思いのまま!! エウクランテだ!!! 特に理由はないッ 釘宮が強いのは当たりまえ!! 患者にはないしょだ!!! 日の下開山! ツガルがきてくれたゾ―――!!! 医療現場で磨いた実戦応急処置!! 眼鏡っ娘のデンジャラス・ナース ブライトフェザーだ!!! 母性だったらこの人を外せない!! 超A級包容力 イーアネイラだ!!! 超一流神姫の超一流のおっぱいだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ 清水栄一と下口智裕のコラボ!! ウィトゥルース!!! 量産体性はこの娘が完成させた!! 島田フミカネの切り札!! ウェルクストラだ!!! 若き王者が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ 天使型あーんばるがいいと思うのッッッアーンヴァルの登場だ――――――――ッ 加えてコレクター発生に備え超豪華な通販限定神姫を4名御用意致しました! 忍者 フブキ!! 「ハヤテのごとく!」 三千院ナギ!! バトロン元ラスボス!ミズキ! ……ッッ どーやらもう一名は開発が遅れている様ですが、情報が載り次第ッ皆様にご紹介致しますッッ 関連レス 501 名前:水先案名無い人:2009/09/03(木) 01 04 15 ID IP3Z5VuG0 491-495 若き王者が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ 天使型あーんばるがいいと思うのッッッアーンヴァルの登場だ――――――――ッ アスミスファンの俺歓喜wwwww コメント ストラーフが最初で、アーンヴァルが最後とかよくわかっていらっしゃる - 名無しさん 2015-01-12 14 47 37 名前
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戦うことを忘れた武装神姫 その26 ・・・その25の続き・・・ 再び、久遠のグラスの氷がカランと鳴った。 「・・・すまないね、『ゼリス』のことを答えるはずが僕の昔話で終わってしまったようだ・・・。」 「いえ・・・それで十分です。」 すっかり氷も解け、なかば水割りになろうとしているグラスを久遠はすっと飲み干した。 ヒトと対等に意思疎通ができる、ちっちゃいけれど頼もしい存在。 「死」すらも、恐れることなく正面から向きあえる程の強い存在。 ヒトに愛され、ヒトを愛することができる、優しく、温かな存在。 - ヒトは何故、「心」を持つこの「存在」を造り出したのか - うつむいたまま、ドツボにはまったかの如く黙り込んでしまった久遠。と、彼の目の前に新しいグラスが差し出された。 「・・・。」 はっとした久遠、見ればグラスを差し出したのは・・・心配そうなまなざしで、じっと久遠を見つめるエルガだった。 「にゃーさんの考えてること、にゃーにも、少しだけど判るよ?」 「・・・そうか?」 「にゃーたちが『戦わなくていいの?』て聞いたとき、にゃーさん、『戦うだけがすべてじゃないんだよ』って言ってくれたの、覚えてるよ? だから、にゃーたちも時々、なんで神姫なのか考えるの。。。 でもね、答えは急ぐことじゃにゃいのだ。 一緒に考えてあげるから、にゃーさんもゆっくり、のんびり考えるの。」 エルガは普段の勢いとはまるで違う、実に穏やかな、落ち着いた声で久遠に語りかけた。 「だけど・・・だけどね? にゃーたちは、にゃーさんよりもずーっと早く壊れちゃうと思うの。だから、にゃーさんが答えを出したときに・・・」 大きなエルガの瞳に、うっすらと涙が浮かんだ。 「にゃーたちは居ないかもしれないよ? だけど、にゃーたちのこと、ずーっと忘れいよね? ね、にゃーさん・・・?」 エルガの頭に、何かがぽたりと落ちた。 「馬鹿っ。。。 無責任なこと言うなっ・・・!」 久遠の涙・・・。 「おまえらが『ここに居ること』が俺には大切なんだよ。。。 それに、一緒に、ゆっくり考えようって言ったな? 言った以上、一緒に答えを探す義務があるっ! 答えが見つかるその日まで、何が何でも俺のそばに・・・傍に・・・っ!」 「わかったのだ。。。にゃー、約束する。ずっと居るの!」 「よしっ、それでこそ俺の猫爪『エルガ』だ。。。」 久遠はグラスをそっと傾けてエルガに一口飲ませた。 「ありがとなの・・・。」 涙でぐしゃぐしゃのまま、グラスをはさんで静かに見詰め合う二人・・・。 その様子を静かに見ていたマスターは、久遠に、そしてエルガにももう一杯グラスを差し出した。 「僕の昔話が、君たちにとって少しでも役に立ってくれれば幸いだよ。今日は・・・僕のおごりにしよう。 好きなだけやってくれ。」 「にゃーん!! マスターさん、ありがとなの!」 「ちょ、エルガっ、すこしは遠慮しないか!それが大人のマナーだっつーの。」 「えー? にゃーは大人じゃないよー?」 「・・・ったく、お前ってヤツは・・・。」 と、グラスを片手にエルガの頭をぐりぐりする久遠の顔は、実に穏やかであった。。。 ・ ・ ・ 終バスの時間が近づき、帰ろうと久遠が支度を始めたときだった。 何かを思い出したように、マスターはCDを入れ替えた。 「君たちは、角子さんと呼ばれるクラリネットタイプの声を持つストラーフの噂を聞いたことはないかな。」 CDが再生される・・・ 「知り合いに無理を言って録音してきてもらったんだ。」 スピーカーから奏でられるは、生録の女性の歌声。 決して音質がよいとはいえない・・・が、久遠と、なによりエルガが反応を示した。 「マスターさんっ! こ、この声・・・っ!」 「何かを感じる・・・そうだろ?」 大きく頷くエルガ。 傍らの久遠も、その歌声に聞き入ってしまい、動く事を止めていた。 「マスター、もしかして・・・。」 久遠が何かを言おうとしたが、マスターは遮るように語った。 「あまり教えてくれるな、とは言われてはいるんだけれど。」 メモ用紙を取り出すと、住所を書き始めた。 「君たちなら、おそらく彼女たちも迎え入れてくれるだろう。場所を教えてあげるから、今度の休みにでも会いに行ってきなさい。 求めている答えのきっかけくらいはつかめるはずだから・・・。」 最後に『MOON』という、おそらく店の名であろう文字を記し、エルガをポケットに入れた久遠に手渡した。 「マスター、今日はありがとうございました。」 「ほんとうに、とってもありがとなの! おやすみなの、マスターさん!」 「僕のほうこそ、長々と昔話に付き合わせてしまって。お礼を言わせてもらうよ。ありがとう。・・・では、おやすみなさい。」 久遠とエルガが帰った店の中には、神姫の歌う『コーヒー・カンタータ』が流れていた。ひとり、カウンターに座りしばし聞き入るマスター。やがてCDの演奏が終わると、酒瓶の後ろに大事にしまっている小箱を取り 出し、カウンターに置いた。箱に記された文字- -type91- 量産試作型 - 「今ここにいることが大切、か・・・。 久遠さんもずいぶんと言うようになったもんだ・・・。」 呟きながら一度もあけたことが無い箱を開けた。 - 白いボディに、ストラーフの顔を持つ神姫 - ふっと小さく息をつくと、マスターは陰に置かれた古びた一枚の写真に語りかけた。 「そろそろ、僕も神姫のオーナーとなってもいいだろうか? ・・・なぁ、『ゼリス』-。」 最終バスの車内。なんとか間に合った久遠とエルガは、いちばん後ろの席で今日のマスターの話を思い返していた。と、窓の外を見ながら久遠が呟いた。 「明日の午前中に行くぞ。」 「にゃ? どこ?」 「なんつったっけ・・・そうそう、『MOON』だ。」 「みんなで行かないの?」 「リゼとイオは・・・どうする? あいつら連れて行ったら、何らかの騒ぎを起こしかねないから・・・。」 「うにゃはぁ、にゃーさん、言うのだー。 でも、みんなで行こうよー。でないと、行く意味がない気がするよ?」 「はは、そうだね。 これも何かの運命だろう。 この機を逃さず、一気に行ってしまおうか。 さっそく帰ったら連絡を入れて、と。 そうすると、まずは川崎製麺寄ってシンメイ拾って、東杜田いってイオとリゼ拾ってから『MOON』に向かおう。」 「さんせーい!」 「どうせアレで走るんだ、都合2時間もあれば着くっしょ。」 「りょーかいなのー!」 明日への期待に胸を膨らませた二人を乗せて、バスは静寂の夜の街を走る- 。 マスターと共に、今を楽しみ、明日へ向かう神姫がいる。 ここに居るのは、戦うことを忘れた武装神姫。。。 <その25 へ戻る< <<トップ へ戻る<<
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{武装神姫についてと俺について} あの事件(俺の後頭部が机に炸裂)してから一週間が経った。 それからというものの、アンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカは色々な事をしはじめた。 アンジェラスとパルカは料理や掃除がやりたいと言い、俺は武装神姫用の包丁や掃除機とかを作り渡した。 クリナーレは何か運動するものが欲しいと言い、武装神姫用のダンベルとか作り渡した。 ルーナはパソコンがやりたいと言い、俺のパソコンを貸した。 まぁ、人それぞれに趣味があるのは当然な事。 だから俺は、こいつ等が何が欲しいとか何が必要とか言われれば作ったり準備してやった。 だが、やる分には構わないが余計な事はしないで欲しかった。 アンジェラスとパルカは料理にしろ掃除にしろ全然道具の使い方が酷かったために台所は地獄と化し滅茶苦茶になる、クリナーレはダンベルをグルグルと回し俺が『危ないぞ』と言った瞬間にクリナーレがダンベルを持った手がすっぽ抜け俺の顔に命中する、ルーナは俺のパソコンに入ってる秘蔵のコレクション(主にエロゲーとか…)をやろうとするし。 もう酷いの一言しか出ない。 そんな感じに生活してい訳だ。 俺はというと武装神姫について調べていた。 武装神姫とはなんぞや。 まぁ、この一週間で大抵解った。 自分の武装神姫を他の神姫と戦わせたりトレーニングをやらせて育てる。 ゲーム風で言えば育成シュミレーション。 悪く言えば娯楽のための人形遊びだ。 しかもこの武装神姫は結構奥が深く、色々とヤバイ噂もある。 表の世界は武装神姫を普通に育てる。 なら裏の世界はどうなのだろうか。 実は裏の世界は現実的に酷いものばかりだった。 市販されてる武器を改造したりオリジナルの武器を作って、その武器を使って神姫達に闘わせ、どちらかが破壊されるまでやらせるデスマッチ。 軍事利用で暗殺型用とかスパイ型用に武装神姫を作ったり。 人間で言うドーピング…神姫用のドーピングを使って身体的と能力的を強くさせたり。 後はそうだな…愛玩用にする。 簡単に言えばダッチワイフだな。 そりゃあ人間の女の形をしてるんだもん。 作りたい気持ちは解るが、俺にとっちゃぁそんなのただの外道としか認識できない。 そんなにやりたければ性風俗店に行けばいいのに。 とまぁ、一応代表的なものを上げた。 そんな奴等を俺はアンダーグラウンドの住人と思っている。 表があれば裏がある。 世の中よく出来てるぜ。 けど、俺はどちらかと言うとアンダーグラウンドの方の人間だな。 勿論、アンジェラス達にそんな下らない世界の武装神姫には絶対させない。 こいつらを預かってる姉貴にも迷惑がかかるしな。 まず第一に俺のプライドが許せない。 「ねぇねぇ、アニキー」 そう無垢なる彼女達を守らなければ。 「アニキってばー」 俺はそう心に誓ったのだ。 「シカトするなー!」 ギューーーー! 「イッテー!?」 クリナーレが俺の髪の毛を引っ張る。 結構、痛いです。 「ボクの事をシカトするなよ!」 「…イテテテ。あぁ~悪かったな。で、何か用か?」 引っ張られた髪の毛を摩りながらクリナーレの用を聞いた。 するとクリナーレは一丁の銃を取り出した。 その銃は名は『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』という武装神姫用銃である。 神姫ショップで一般的に売ってる銃。 だが、クリナーレが持っている『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』はちょっと違う。 何故なら…俺が見よう物真似で作った銃なのだから。 「ゲッ!?クリナーレ、その銃を何処で見つけた」 「え~と、隣の部屋の机に大事そうに飾られてたから、そこからちょっと借りただけだよ」 「まだ使っていないだろうな!」 「う、うん。もしかして怒った?」 クリナーレは申し訳なさそうな顔をした。 「いや、怒ってねぇーよ。他の皆はその武器や他の武器の事知ってるのか?」 「今の所、ボクだけだと思う」 「そうか。よかったぁー」 「よかった?」 「あ、こっちの事だ。でもちょっと皆に話す事が出来たな。クリナーレ、皆を呼んで来てくれ。それと銃は没収だ」 「えー、今からこの銃でトレーニングしようと思ったのにー」 「話が終わったら嫌になる程使わせてやる。だから皆を呼べ」 「約束だよー」 不満そうにクリナーレは俺の左手の手のひらに乗り、俺は地面に左手を置くとクリナーレはアンジェラス達を呼びに行った。 もう見つかってしまったらしい。 あの銃には色々とやっかい事があるというのに。 いや、あの銃に限らず他の武器も色々とヤバイ。 これで今まで黙ってきた事がバレる。 でもまぁ、何時かバレる日はくる。 なら日が浅いうちに言っとくべきかもしれない。 「みんなを呼んで来たよー」 クリナーレが戻って来てその後ろにはアンジェラス、ルーナ、パルカの順に来てくれた。 「何か御用ですか?」 「遊んでくれるの?」 「まさか、私達をリセットするんじゃ…」 「まぁ用事といえば用事かな。それとパルカ。リセットなんかする訳ねーだろうが」 ホッとするパルカ。 まったく、何処まで臆病なんだよ? そんなに俺が怖いのか? もしそうならちょっとショックだな。 って、今はそれよりも。 「それじゃみんな。俺の肩に二人ずつ左右に乗っかってくれ。地下に案内するからさぁ」 「へぇー、地下なんかあったんだこの家。ボク知らなかったなぁ」 「地下でエロい事するつもりですわね」 「んな訳ねーよ。それともルーナだけ放置プレイしてやろうか?」 「放置は嫌ですぅ~」 ルーナはルーナで何だかエロ方面の方向に話そうとするし。 ちょっと、ムラムラとくる言葉に誘惑される俺だが理性が強い俺はそう簡単に落ちないぜ。 俺は中腰をして机と同じぐらいに肩の高さ合わせる。 トコトコ、と俺の方に移動するアンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカ。 右肩にクリナーレ、パルカ。 左肩にアンジェラス、ルーナ。 みんなが肩に移動し終わると俺は地下に向かった。 …。 ……。 ………。 「ここがそうだ」 パチ、と電気を入れ部屋が明るくなる。 とても大きな部屋で壁は無機質なコンクリートで覆われ、机が二つと色々な道具が置かれている。 なんとも味気の無い部屋。 肩に乗せてるアンジェラス達を机に下ろし、クリナーレだけ右手の手のひらに乗っける。 アンジェラス達は『なんでクリナーレだけ』と不思議そうに思った。 俺はすぐその場に厚さ10ミリのドアぐらいの大きさの鉄板が置かれてる場所まで行き。 「こいつを撃つんだ」 クリナーレに命令した。 命令した後、鉄板から7、8メートル離れてから先程クリナーレから取り上げた『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』を渡す。 クリナーレは俺から渡された銃を構える。 とても綺麗な構え方だ。 やはりそのようにプログラムされているのだろうか? いやいや、その考えは止めとこう。 俺は彼女達を人間同様に扱うと決めたばかりじゃねーか! 左手をクリナーレの背中に触れるギリギリでとめとく。 この行為が無駄になれば嬉しいのだが…。 「せい!」 バキューン! 「うわぁ!?」 「クゥッ!」 撃った衝撃でクリナーレが後ろに吹き飛ばされて、俺が予め用意していた左手でクリナーレを掴み助け、すぐさま右手でクリナーレ覆う。 だが助けた俺の身体はクリナーレが撃った衝撃を全て受けたため、バランスを崩し尻餅をついてから倒れた。 「ご主人様!?」 「ダーリン!?」 「お兄ちゃん!?」 机の上で叫び心配する三人。 「安心しろ、大丈夫だ」 俺は上半身だけ起こし、閉じた両手を開いてみる。 どうやらクリナーレは無事みたいだ。 けど自分を両手で抱くように縮こまって小刻みに身体を震わせている。 いったいどうしんだ? 「クリナーレ、大丈夫か?」 「…あ、あっ…アニ…キ…」 涙目になっているクリナーレ。 どうやら銃を撃った反動で恐怖を感じたみたいだ。 無理もない。 市販で売ってる銃はあんな反動は無いからなぁ。 やっぱり撃たせるんじゃなかった。 クリナーレを怖らがせてしまったのだから。 「大丈夫。もう大丈夫だ」 「アニキ…ボクは…」 「何も言うな、怖かったんだろう。なら今は甘えていいんだぞ」 「アニキー!」 クリナーレが俺の胸元の服を両手で掴んで泣く。 「怖らがせてゴメンな」 俺は謝る事しか出来ない。 所詮その程度の人間。 「ご主人様、大丈夫ですか?」 「ホッ。案外大丈夫そうね。心配したんだからねー」 「よかったですー!姉さんもお兄ちゃんも無事で!!」 「お前等…」 アンジェラス、ルーナ、パルカが俺の左太もも辺りで心配そうにしていた。 あの高い机からどうやって飛び降りたのだろう。 まぁ今はいいや。 こいつ等も安心させないとな。 「俺は大丈夫。ただクリナーレが怯えちゃったかな。ワリィ事しちまったぜ」 「いえ、ご主人様は悪くないですよ」 アンジェラスが俺を慰めてくれる。 何故、こいつは俺の事をここまで気にかけてくれるのだろうか? まるでアンジェラスだけが特別な神姫みたいに感じる。 「サンキューなアンジェラス。みんな、あれを見てくれ」 顔で合図し、鉄板が置かれてる場所を見てもらう。 アンジェラス、ルーナ、パルカは鉄板が置かれた場所を見る。 「そ、そんな…」 「…うわ~」 「…酷い」 三人はそれぞれ別の驚愕を示した。 三人が見た物は、鉄板が二つに別れ真ん中の部分は粉々に吹き飛んでいた光景だ。 たった一発の弾丸で頑丈な鉄板が半壊の粉々。 とんでもない威力だ。 「あの銃は俺が作ったんだ」 「そんな!だって、あれはどうみても」 「市販されてる『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』の銃って言いたいんだろ、アンジェラス」 「そ、そうですけど」 「あの銃は見ようもの真似で作った物だ。…姉貴が武装神姫関係の会社で働いてるのを知っているよな」 無言で頷くアンジェラス。 目は真剣そのものだ。 「俺は何か物を作るのが好きなんだ。まぁ趣味みたいなものだな。それで姉貴の会社に行き、武装神姫関係の武装や装備のデータをパクッて、それをベースにして俺が作ったオリジナルの武器が出来上がる訳よ」 「ご主人様…もしかしてご主人様は…」 「そう、俺は違法な武器を作っちまった。他にも色々と悪い事を沢山やってきた…犯罪者という訳になるかな」 アンジェラス、ルーナ、パルカは沈黙した。 まさか自分のオーナーが武装神姫の違反者だとは思わなかったのだから。 しばし無機質な部屋の沈黙が訪れた。 だがその沈黙はすぐに消えた。 「そんなの…関係ないよ」 声の主はクリナーレだった。 泣いたせいか目が充血していた。 「アニキは酷い奴じゃないよ!実際こうしてボクの事を守ってくれたあげく、心配までしてくれるんだから!!」 「クリナーレ、お前…」 「アニキ!ボク達は例えアニキが悪い事をしていても大丈夫!!ねぇみんな!!!」 必死で俺を庇うクリナーレ。 嬉しかった。 ここまで他人のために言ってくれる奴はそう簡単にいない。 「クリナーレ、大丈夫よ。私達が、ご主人様を軽蔑するわけないじゃない」 「そうよ。この一週間一緒に暮らしたけど、とても悪人面に見えないしダーリンはとても恥ずかしやがりさんなだけですわ」 「姉さん、私はお兄ちゃんに色々な事を教えてもらいました。私に教える時のお兄ちゃんは笑顔で言ってくれます。そんなお兄ちゃんが悪人には見えません!」 今度はアンジェラス達が言ってくれた。 まったく、どうしてこいつ等はこうも馬鹿なんだろうか? 犯罪者が悪人に見えない。 馬鹿じゃん。 本当、お人よし過ぎる馬鹿者達だ…こいつ等は。 嬉しくて涙がチョチョギレルわい。 「ほんと、お前等ていうやつは…」 こいつ等といると俺の心はなんだかとても軽くなる。 今までやってきたった行いは殆ど悪い事が多い。 それも生きる為という肩書きという理由で…。 まぁ色々悪行三昧してきた訳よ。 なら今から俺がやってきた罪はどうやって償うべきか…。 罪は後で考えるか、今はこいつ等のめんどうみる事が最優先だ。 「よし!気を取り直すついでに飯でも喰うかぁー!!」 ガバッとアンジェラス達を両手で掬い上げ俺の胸に抱き寄せる。 少し恥ずかしいけど俺はアンジェラス達にニコヤカに笑って見せた。 「ご主人様!」 「アニキ!」 「ダーリン!」 「お兄ちゃん!」 「今日は俺の手作りの飯だ。心して喰えよ!」 「嬉しいです、ご主人様」 「やったー、アニキの手作りの料理美味いだよなー」 「あらあら、生活費がヤバイのにそんな大盤振る舞いしていいんですか?」 「ルーナさん、お兄ちゃんの事ですから大丈夫ですよ」 ワキャワキャっと喋りにながら一階に向かう。 これからはこの大切で大事なひと時を俺は守っていこうと思った。 今日の出来事で今までの俺にさようならし、俺は新しくなった。 さぁー、俺の新たな生活の始まりだ!
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戦うことを忘れた武装神姫 その24 最近、正式に「ムサコ神姫センター」との名称になった、M町のセンターの 3階にある大型筐体・CMU-381-M2。 いわゆる草リーグではあるが、中では2vs2の激しい戦闘が繰り広げられて いた。真夏のような草原フィールド、宙を飛び回るダブルツガルに対するは、 ストラーフと猫爪の組み合わせ・・・そう、かえでの神姫。。。 手が加えられ、より軽量となっている装備を活かし、速度で勝負を仕掛けて くるダブルツガル。 対するは、戦略のティナと経験のフィーナ・・・。 開始時は圧倒的な速度に押されていたかえでの2人だったが、やがてティナ が相手の弱点 -装甲の薄さ- に気づき、情報を受けたフィーナはアームの指 先を外して待機。ティナが囮になっている間に、フィーナは草原フィールド の起伏により死角になる位置へと移動した。 「-Tへ。セット完了。」 「-Pへ。-T、了解。あと7.5sで到達。」 「-P、了解。」 短いやりとりをすると、ティナは四脚にてフィーナの潜む窪地へと一直線に 駆け出した。 後を追うは、HEMLを両の手に構えたツガル2体。 脚力には定評のある猫爪ではあるが、空間を一直線に移動できるツガルの方 が、当然速く移動できる。 間合いが詰まる。 2体のツガルは、照準をティナの背中に合わせた・・・ その瞬間。 窪地から、ツガルたちの目前に10個の小さな黒い物体が放り出された。特殊 鋼材でできた、フィーナが自らのアームから取り外したアームの指だ・・・。 速度を求めるがあまり、装甲を減らし過ぎたツガル2体は、自慢の速度が仇 となり、突如出現した固い物体を避けることが出来ず、全身に思い切りブチ 当ててしまった。 「衝撃は速度の二乗に比例しますから、それに見合った性能の対衝撃装甲を するべきにゃのです。」 見事撃墜され、目前に落ちてきたツガルの2人に、静かに語りかけるティナ。 「チームワークも、速さも照準も申し分がありません。ですが、装備に関し ては、今一度考えた方が良いでしょう。」 フィーナはちらばる指を拾い集め、元の通りにアームへ組み付ける。 「それだけの能力、装備で殺してしまうなんて・・・」 「もったいにゃいですよ?」 2人の余裕の様子に、白旗を揚げるツガルコンビ。 「勝者、ティナ・フィーナチーム!!」 ジャッジマシンが勝利を告げた。 土曜の午後、けっこうな人の入りの中、 わき上がる拍手。ダブルツガルのオーナーと握手を交わし、互いの神姫たち の健闘をたたえるかえで。 2人の周りには、顔見知りとなった仲間たちが 集い、話に花を咲かせる・・・。 ・・・今やすっかり川崎家の一員としての生活にも慣れたフィーナ。 普段は、かえでのちっちゃいお目付メイドとして、ティナと共に、いわゆる うっかりさんのかえでを冷や汗混じりでフォローする毎日。 だが週末には、 自らの存在を確認する意味でも、一戦は必ずこなしているとか。 一方のティナはといえば、フィーナに稽古を付けてもらい、また自ら研究を 重ねたことで、猫爪にしては大変に珍しい「頭脳格闘派」として名を馳せて いた。 とはえい、基本は猫爪、ネコネコしい事に変わりはないのだが。 一時期、引きこもりがちになったかえでに、そっと父親が渡したもの、それ が猫爪型武装神姫。。。 所詮は大人向けのおもちゃ、そんな気持ちで起動させた。 静かに起動する ちっちゃい仔猫。 好きだった絵本の主人公の名をとり、ティナと名付け、 傍らにポンと置いた、それだけの存在だったはずなのに。 戦う格好をした 人形、ただそれだけだったはずなのに。 いつの間にか、自分の生活に溶け込んで、 いつの間にか、当たり前の存在になり、 いつの間にか、無くてはならない存在になっていた。 この子がいるから、頑張ってみようと思う。 この子が応援するから、あと 一歩を踏み出そうと思う・・・ 気が付けば、だれとでも話せるように なった自分が- 。 そんなときに起きたあの事件。 かえで自身にとっても、大きな転機となった。 ちっちゃいけど、精一杯がんばる神姫の姿。 それは、ヒトが作りし、ちっちゃい心。。。 「かえでちゃん、どうしたの?」 「あ、ごめ〜ん。ちょっと考え事していて。」 神姫仲間の一人に声をかけられて、はっと我に返るかえで。 フィーナに 引っ張られるように始めた神姫バトル。 今では、ここに週一回来ることが 楽しみでならない・・・。 ここに来れば、同じ志を語り合える「仲間」が 待っているから- 。 「そうだ、かえでちゃん、推薦で大学決まったんでしょ?」 恥ずかしそうに、かえでは顔を赤らめる。 「えー? 何で知っているの?」 「この前フィーナちゃんが言ってたじゃない。 えーっと・・・」 「T工大。Dr.CTaさんみたいになれればいいな、って思って。」 私に道を開いてくれた、ちっちゃい存在。 自分にだって、造り出せるはず- 。 「へぇ、それはすごいねぇ。」 いつの間にか話に加わっていたムサコの店長が口を挟んだ。 「て、店長さんまで・・・。」 「お祝いってわけじゃないけど、これをあげよう。・・・使うかな?」 と、手渡された小袋。開けるとそこには神姫サイズのメイド服。ブランドは TODA-Design、しかも Battle Use ONLY とデカデカと書かれている。 「いいんですか? 頂いちゃって・・・」 「どうぞー。 先週だったっけ、君たちと話をした、CTaさんじゃないコス プレのねーちゃんがいたろ、ハウリン連れた。あの人が戸田さん本人だった んだよ。 で、戦うメイドって言葉が似合うから- 、って作ったんだとさ。」 「はぁ・・・嬉しいのですが、ティナはともかく、フィーナがどう言うか。」 「私がどうかしましたか?」 ツガルたちとの話が一段落したのか、ひょっと顔を出すフィーナ。 「こういうの、着る?」 かえでが広げた服に、一瞬目を丸くするフィーナ。 「イヤです、といっても、マスターもしくはティナに無理矢理着せられるの がオチでしょう。。。」 「・・・イヤなの?」 が、フィーナはすぐにいつもの笑顔に戻った。 「ふふ、ウ・ソ・です。 こういうの、私好きなんですよ。」 まだツガルたちと話をしていたティナを呼び、2人で袋にはいるとごそごそ と着替えを済ませ、出てきたときには・・・ マシンガンが似合いそうな姿 のメイド神姫になっていた。と、横から仲間の一人が言った。 「やっぱ、二つ名は『戦うメイドさんズ』でいいんじゃないですか?」 ふたたびわき上がる拍手。 対戦相手のマスターも、ダブルツガルも拍手を している。その暖かな輪の中で、嬉しそうにクルクル舞うティナとフィーナ。 「どうです? マスター。 似合いますか?」 「かえでちゃん、見てみて! ここに隠し武器があるの!」 その姿に、かえでは心の底からうれしさがこみ上げてきていた。 気が付けば、いつも仲間がいる。 もう、寂しくなんかない。 だから、決めたんだ。 いつの日か、仲間をつないでくれた、 小さな存在を、自分が神姫を作るんだ、と-。 <その23 へ戻る< >その25 へ進む> <<トップ へ戻る<<
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戦うことを忘れた武装神姫 その12 ・・・その11の続き・・・ 「在庫じゃないんだからああぁあぁぁ!!!」 ひときわ大きく絶叫すると、イオはLC3とツガル装備のHEMLを取り出した。 さらには妙なコードを取り出すと、背中の翼に載る推進器と、LC3・HEMLを接続。右手にはLC3、左手にはHEML・・・それぞれを片手で軽々と扱うその姿は、もはや武装神姫ではなく、武装鬼神・・・!!! 「な、ななな・・・そんなこけおどしが通用すると思っているのか!」 大型の射出型パイルバンカーを取り出し、すぐさま一発打ち出すディサ。だが、撃ち出されたされたパイルは、イオまで到達することはなく「消滅」した。 先端が真っ赤になっているLC3・・・そう、推進器のエネルギーの大半を、両手に持つ得物へそそぎ込み、機材の限界をはるかに越える弾を撃ちだしているのだ。そして、エネルギーの強さのみならず、速射の能力も-。 「オラオラオラ!!! ちょこまか逃げるんじゃねぇ!!!」 左右の得物が、あり得ないレベルの弾を射出し続ける。ディサは、反撃する隙すらも与えられず、当たったら即・分解されかねない弾の雨の中を必死に逃げるのみ。時折かすめる弾により、自慢の特別装飾が施された鎧が徐々に変形し、溶けていく。 フィールド上は地獄絵図だった。厳かな雰囲気を醸し出していた柱や台座は粉々に粉砕され、ダミ−とはいえきらびやかな財宝の入っていた宝箱はあとたかもなく消滅。 「どこだ、どこへ逃げた!! 出てこい!!!」 粉塵でフィールドが煙る中でも、イオは乱射を止めようとしない。 『やむを得ん・・・ディサ、アーマー解除! 軽装モードにて待避せよ!』 サイトウが叫ぶ。ディサは鎧を捨て、粉塵に紛れイオの背後になるような立ち位置を探る。やがて、イオのLC3が限界を超え、アラートがなると同時に銃口が溶解。続いてHEMLも銃身が真っ赤になり、射出不能となった。 「ちっ・・・軟弱な機材だぜっ!! ・・・ん?やつはどこへ行った?」 蹴り飛ばすように両の手の得物を捨て、ディサを探す。・・・すでにその時、ディサはイオの真後ろに飛び上がれる位置へと移動していたのだ。 『今だ、行けっ!!!』 タイミングを伺っていたサイトウに命令を受けたディサは、飛び上がり掘り出したパイルバンカーを構え、イオの真後ろに狙いを定めた。 (取った!!!) そうディサが思った瞬間だった。 「ふん、後ろか・・・」 イオは呟くと、翼の角度を調整し、推進器の噴射口がディサへ向くように、瞬時に調整。あれだけ乱射をしながらも、各種センサー類はしっかりと機能させていた。 「Good-Bye,Baby-Girl.」 迫るディサを横目でちらりと見ると、悪魔のような笑みを浮かべて推進器をフルパワーに。 「ぁ・・・うわあぁぁあああああ!!!」 推進器からの猛烈な熱風の直撃を受けるディサ。重量のあるパイルバンカーを抱えて飛び上がっていたこともあり、バランスを崩して背中から落下。 「がはっ!」 鎧を着けていなかったこともあろうか、しばらく動くことすら出来なかった。 ディサがようやく体を起こすと、イオが静かに目前に降り立った。 「まだだ、まだだぁっ!」 ディサはまだ地に足を着けていないイオめがけ、自慢の俊足を活かし、大柄な太刀を振り上げ斬りかかった。かえでの猫子・ティナの腕を斬り落とした、あの太刀だ。。。 フィールドの脇では、その光景にギャラリーモニターを見ていたかえでが思わず叫んでいた。 「イオ、逃げてー!!!」 あの日の記憶がよみがえったのか、ティナは顔を伏せ、かえでの服をぎゅっと掴んでいる・・・ キィン! 金属と、別の物質が当たる音が、フィールドの外までも聞こえてきた。 「何ぃっ?!」 「・・・甘ぇんだよ・・・。」 太刀は、イオに届いていなかった。イオが手にしていたのは、なんと酒瓶! 銘柄は地元の酒造メーカー「澤野伊」生一本。イオの大好きな逸品である。 イオはその酒瓶を軽々と振り回し、太刀VS酒瓶という、異色のチャンバラを演じる。やがてダメージがボディーブローのように効果を示し、さらにイオの気迫に圧倒されたディサは徐々に押され気味となり、 ・・・ざくっ 太刀がはじき飛ばされ、天井に突き刺さった。 得物をすべて失い、にじり寄るイオに対し何も出来ない・・・ 腰の力が抜け、へたり込むディサ。 「てめぇがあたしに『在庫』っていう筋合いは無いんだよ! あぁん?」 手にした酒を含みながら、ティナの目前に立つイオ。 「わかったか・・・ わかったら返事しろっ!!!」 「は、はいぃっ!!! 申し訳ありませんでしたっ!!!」 頭を地面にゴリゴリこすりつけて土下座をする。 「おぅ、そういやお前・・・ ティナって猫子の事、覚えているな?」 恐怖に歪んだ顔を持ち上げ、イオを見上げつつ首を縦に振るディサ。 「あいつがどれほどの恐怖を味わったか・・・てめぇにはわかるか?」 酒瓶に口を付け、ぐっと一口含んで栓をすると、左手で瓶をポンポンと叩く。 「まぁ、分からなくてもいい。 今ここで分からせるだけだからなっ!!」 と、手にした酒瓶を振り上げるイオ。ディサの目に、今まで一度も浮かべたことの無かった涙がわき上がった。 ・・・ディサに、戦意はかけらも無くなっていた。 もう、これ以上はなんになるの? なんでそこまでするの? お願い・・・ 助けてっ!! 頭が砕かれるっ!!! ・・・が、いつまでも衝撃は来なかった。 「・・・少しは分かったか、やられる側の気持ちが。」 酒瓶は、ディサの頭上スレスレで止まっていた。 「あ・・・・・・ わ、分かりましたああぁっ!!!」 「よーし、それでいい。」 再び、地面にゴリゴリと頭をこすりつけて土下座のディサ。イオはその様子をジャッジマシンにアピールする。 「ディサ、戦意喪失により戦闘続行不能。勝者、アーンヴァル・イオ!!!」 判定が下され、試合終了。 わぁっ! とギャラリーが盛り上がる。 その声に、ふっと我に帰ったイオ。瓦礫の中でキョロキョロと廻りを見渡すと、 「あら・・・やだ、私ってば・・・またやっちゃったの・・・? えっ・・・皆さん見ていました? いやー! 恥ずかしい。。。」 いつもの調子でクネクネ恥ずかしがる。 そのあまりのギャップに、モニターをみていたギャラリーも一斉に固まってしまう。 もちろんかえでとティナも、目を丸くして茫然と見る事しかできなかった。。。 「まるで普段は優等生ぶってる『レディース』の頭のだな、おい・・・。」 その姿に、久遠はちょっと恐怖心を抱いていた。それは、神姫たちも同様であった。ぼそり呟くリゼ。 「なぁ・・・イオには・・・逆らわないようにしような・・・。」 エルガとシンメイも、その一言に強く首を縦に振るのであった。 ・・・>続くっ!>・・・ <その11 へ戻る< >その13 へ進む> <<トップ へ戻る<<
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戦うことを忘れた武装神姫 その41 係長という肩書きにより、取引先からいただく事が出来た高級ビールが、いくら探しても見当たらない。昨晩まで、たしかにこのテーブルの上にあったのに。 諦めて、麦茶にしようと冷蔵庫へ向かったそのときだった。 がたん、どす! 中身の入った飲料缶が落ちる音がした。 振り返ると、そこには小さなロボットがビールの缶に半ば押しつぶされるかのごとく倒れている。 「・・・ディーニャ・・・ お前、何してたんだ?」 マオチャオ型をベースに東杜田技研で試作されたMMS、type T-TAK「ディーニャ」。 白色に緑色のペイントが施された素体、髪はロングのアップポニー。アタマには大型のはんぺんネコミミを装着し、手にはにくきゅうグローブを装着しつつも、目と口元にはマオチャオの面影が色濃く残る。 ビールの缶をのけて、まだ目を廻しているディーニャを摘み上げた。 「起きろっつーの。 狸寝入りしてるのバレバレだぞ。」 ふにふにとネコミミを突付くと、くすぐったさを我慢できなくなったのだろう、もぞもぞと動き始め・・・ 「にゃ、や、やめるのだ! やめろー!!!」 手の中でジタバタと暴れるディーニャ。 摘んだまま顔の高さまで持ち上げ目線を合わせると、バツが悪そうに目を泳がせるディーニャ。 「さて、今何をしていたのか。 正直に言いなさい。」 眼力で迫ると、ディーニャはネコミミをふにゃりと垂らし、 「にゃは・・・びーる、のみたかったのだ・・・」 相変わらずの酒好きめ・・・。 「だから、びーるかくしてたの。こかげのだいじ。 あきかんと、いっしょにするとわからにゃいの。」 本来は、旅のお供のサポート神姫としての研究開発が進められていたディーニャ。 しかし、マオチャオ型をベースとしてしまった上、我侭に育った小型ロボットのAIを用いてしまったが故に。 妙なところで知恵の廻る、いまひとつ使えない旅サポート神姫となってしまったのだ。 かといって、ある程度は成果をあげているこのプロジェクト、ひとまずはディーニャの育成を進めてみることに・・・なったのである。 そして。 プロジェクトに関わっていながらも神姫を持っていなかった俺が、当面の教育係となってしまった、というわけだ。 「にゃーさん、ごめんにゃさい。」 テーブルの上で、素直に謝るディーニャ。だがこいつの場合は「素直に謝ればビールが飲める」ことを期待しての行動に他ならない。 ポニーテールを揺らして謝る姿はかわいいが、ここは心を鬼にしなければならない。 「ふむ。だが、独り占めしようとしたことは罪である。よって、このビールは俺が飲み干す。」 泣き出すのではないかと思うほどに目を潤ませ、ビールの口を開けて飲もうとする俺を凝視するディーニャ。 耐えろ、耐えるんだ・・・っ! ディーニャの視線を痛いほどに感じつつも、俺はビールをぐびっとひとくち。すると、ディーニャはぴょんとテーブルから降りて。 「いいもーん! まだかくしてあるびーるはいっぱいあるんだからー!」 そういいながら、俺の散らかりきった部屋へと駆け込んでいった。 ・・・まだ・・・隠してある・・・?! 「ちょっと待て! お前いつの間に!!! どうりで最近、酒の減りが早いと思ったよ・・・! こらディーニャ!どこへ隠しているんだ!!」 「にゃはー! それはひみつにゃのだー!」 -今宵も、ディーニャとの追いかけっこは続く-。 <<トップ へ戻る<<